G物語。

2004年5月25日
それは25日午前0時を回ったときのことだった。

眠れんと羊を数え始めた母親に「羊のかわりに立樹遥でも数えたら?」とわけのわからん冗談を言い、「じゃあな」とおやすみの挨拶をして私は自分の部屋のある階下へと降りていった。

風呂に入る用意をすべく、部屋の明かりをつけ、部屋に入ろうと、すだれをかきあげ、中腰で一歩部屋に踏み入れたときだった。

布団の上で何か黒い物体が蠢いた。

うわあああぁぁぁ。と悲鳴をあげながら、私は中腰のままニ、三歩後退した。

今のは何だ。もしや・・・
嫌な予感がした。

もう一度確かめるべく、そっと部屋を覗く。

触角をぴこぴこ動かしている黒い物体。

・・・ホマレが言うところのGですな。Mr.ゴッキー。

蜘蛛>ゴッキーの私にしてみれば、怖くはないものの気持ちはよくない。
むしろぴこぴこした触角は可愛いもんさ。

だがしかし、私が寝る布団の上ということは、叩こうにも叩けない。
布団の上から退いてもらおうにも、万が一逃がして、夜中に舞い戻って来られるのはご遠慮したい。
ということは、掴んでほかすしかない。

とりあえず、眠れないと言っていた母親を起こしに行った。

詳しい描写はしたくないので、格闘の末、母が袋に捕獲して捨ててくれた、とだけ言っておこう。

そして私は何事もなかったかのように、風呂に入り、その布団で眠ったわけだが。
いたのは掛け布団の上だったからよかったのだ。
もちろんどこを通って出現したとか、そういうことは考えない。
枕の上とか通った可能性もあるんじゃない? とかそういうことも考えない。
私は見ていないんだから、通ってないったら通ってないんだ。

だって言い出したらキリないもんね。
もしかしたら、君たちが眠っている布団の上にだって、ゴッキーが歩いているかもしれない。
見てないから知らないだけかもよ?

・・・見ていないとは幸せなことだ。

朝、一応布団カバーは洗濯した。
だってやっぱり気持ち悪いもん。

洗濯機にかけてから、着替えていたんだが、そのとき敷布団の毛布の上にちっちゃい黒い物体を見つけた。

・・・ちぎれた足だった。

昨夜通っていたという痕跡か!?
いやいや、カバーを外したときにカバーから零れ落ちたのさ、そうに違いない。
気にしない気にしない。
気にしないんだあぁ!


 
 
とまあ、すべてノンフィクションであります。
母に言った台詞も、女らしくないうわあああぁぁぁという悲鳴も、部屋の入り口にすだれがかかっていることも。
一応、何故入り口にすだれかというと。
部屋の入り口はガラス戸なので、隣の部屋で電気をつけられると、眩しくて寝てられないからなんですね。

コメント